2020年以降のIE11対応に関する意見 ~ Internet Explorerを終わらせるのは、誰か?

2020年以降のIE11対応に関する意見 ~ Internet Explorerを終わらせるのは、誰か?

あと1年足らずで2020年になりますね。東京オリンピック?2020年問題?まあ世間でも節目だのなんだの言われておりますけれども。んなこたぁーどうでもいいんです(※真面目な話をすると需給に影響があるので実際はどうでもよくはない)。我々にとって重要なことは、2020年1月14日でWindows 7のサポートが切れるということ。え?だから何だって?いよいよ要らないIE11を窓から投げ捨てるチャンスってことです。

※本記事は読み物系の内容なので、いつもよりは(ウェブ関係者寄りの)万人向けに書いていますが「Internet Explorer」と「Yahoo!」の違いが分かる程度の知識レベルは要求する内容となっておりますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。あとめっちゃ長いんで超ヒマな時に読むことを推奨します。

本当に2020年でIE11のサポートを辞めて大丈夫?

結論から言います、多分ダメです。具体的には2025年10月14日ぐらいまでダメです。「おいおいタイトル詐欺か」と思うかもしれませんが、まあちょっとお付き合いください。まず、なぜ2025年までIE11をサポートしなければならないのか、という説明からします。

IEの寿命

そもそもInternet ExplorerというのはMicrosoftの製品です、言うまでもないことですが。そしてInternet ExplorerはWindows OSにバンドル(≒標準搭載)されています。ゆえに、IEの寿命イコールOSの寿命という図式が成り立つわけです。

Windows OSの延長サポート期限

  • Windows 7:2020年1月14日
  • Windows 8.1:2023年1月10日
  • Windows 10:2025年10月14日
    ※Windows 10には、IEの後継ブラウザであるEdgeも搭載されている。

なお、この延長サポートというのは脆弱性やバグの修正、その他有償サポートを行っている期間のことです。いわば消費期限のようなもので、この期間を過ぎると、たとえどれだけ重篤なセキュリティリスクがあったとしても「知ったこっちゃない」というわけです。つまり、未だにWindows XPやVistaを使っているということはカビの生えたパンや腐った卵を食べて生活しているようなものです。

こんにち我々Web業界がIE10以下の動作保証をしていないのも、IE8までしか動かないWindows XPのサポートが2014年に、IE9までしか動かないWindows Vistaのサポートが2017年に失効したためであります(IE10が搭載されていたWindows 8についても、IE11が搭載のWindows 8.1にアップデート必須扱いになったので考慮しなくてよい)。

補足:メインストリームサポート期間
これとは別に「メインストリームサポート期間」というものがあります。これは、セキュリティ関連の修正対応は勿論のこと、新機能の追加や無償サポートも行っている期間のことです。延長サポートが消”費”期限ならこちらは賞”味”期限のようなもので、基本的に発売から5年間程度のサポートを行っています(メインストリームサポート期間終了後の約5年間が延長サポート期間となる)。なお、Windows 7とWindows 8.1のメインストリームサポート期間は終了していて、Windows 10のメインストリームサポートも2020年10月13日に打ち切られる予定となっている。

なぜIEは嫌われているのか

付随して、なぜIEがここまでウェブ業界ひいてはIT業界の人間に嫌われているのかも分からない方向けに説明しておきましょう。二つの主張があるのですが、まずは一つ目からご紹介。

レガシーブラウザ対応のための技術的コストの発生

IEが忌み嫌われている理由は簡単で、このIEに対応するためだけに余計な手間がかかるからです。それっぽく言い換えるなら工数増が懸念されるってことです。弊ブログにてIEについて言及している別記事の内容を原文ママでいくつか貼っておきますので流し読みでご覧くださいまし。。。

  • なんとIEではgrid-auto-flowプロパティが使えません。grid-template-rowsやcolumnsならば-ms-grid-rowsといったようにベンダープレフィックスをつければどうにかなるのですが。ところがどっこい、grid-auto-flowは-ms-を頭につけても使えません。これが現実……!
  • うん、「また」なんだ。済まない。 (´・ω・`)確かにベンダープレフィックスもIE11用のCSSハックも要らないとは書きました。でもやっぱIEは別途対策がいるんです。とてもつらい。上述のようにCSSを書き換えてもIEだと列が折り返されずに項目が縦並びになってしまうんす。
  • また、この記述と先ほどのtext-align:justify;とtext-justify:inter-ideograph;の指定を組み合わせて使うと、IE/Edgeでテキストが両端揃えにならなくなってしまいます。まあ見た目が大きく崩れるわけじゃないので、そこはグレースフルデグラデーションってことで・・・。
  • できてへんやんけーッ!基本的なことが~~~~~~~!!(画像略)仕様です。MSさんちのブラウザだとoptionにdisplay: none;とかかけてもダメらしいっす。ちなみにAppleさんちのブラウザでもダメです。
  • 「remove();ではなく、hide();やdisplay: none;で対応すればいいのではないか。項目変更のたびにわざわざDOM要素の追加や削除を繰り返したくない」気持ちはわかる・・・(画像略)が、しかし。IE/Edgeがポンコツなせいでこの目論見は頓挫することになります
  • こんな感じで、未入力時は入力を促すよう薄紅色になったりするやつがJSなしでサクッと出来るのです。Microsoft製のブラウザさえなけりゃあなあ…!このブログいつもIEとEdgeの悪態ついてんな。
  • 余談の余談でついでに書いとくと、IEとEdgeはアホの子なので:placeholder-shownだけでなく::placeholderのテキストにスタイル当てる場合もちょっと配慮が必要です。

(旧称)2ちゃんねるのコピペかよと。現時点で投稿件数12件のブログの中でこんなに悪しざまに言われるって逆にスゴくない? 敗北者……?ついでにEdgeとSafariもdisっているのは気にしてはいけない。ま、まあこの2つはIEと違ってアプデで改善される可能性があるから…。Edgeに関してはChromiumベースになることで多少マシになってくれることを信じたい。

こうした不満はWeb制作の現場ではいたるところで発生しているもので、Googleで「Fuck IE」と検索すると約7,090万件ヒットします。また、Twitterなんかで #IE滅びろ なんてワードやハッシュタグで検索してもぼちぼち怨嗟や憤り、憎悪の声を目にすることができます

一つ一つの対応は軽微だったとしても、都度都度IEでの表示確認のために取られる時間を考慮したら馬鹿にならない作業コストになるわけで。(また、たまに軽微な対応で済まない場合もあり、半日以上解消に時間がかかったりすることもある)そりゃみんな嫌うわな、と。

セキュリティ的な問題

IEは、しばしば脆弱性の観点からも批判を受けることがあります。IEのセキュリティリスクにまつわる最近のニュースをご紹介いたします。

  • IEがPCに入っているWindowsユーザーは要注意!
    (2019年4月15日 7時3分)
    セキュリティ・リサーチャーが、Windows搭載PCからファイルを盗み出すことを可能とする、Internet Explorer(IE)の脆弱性を報告しています。(中略) IEをデフォルトブラウザとして設定していなくても、現在もまだPC内にIEが存在するのであれば、MHTMLファイルを開く時にやはり攻撃を受けてしまう可能性があるということです。
  • Microsoft EdgeとIEにゼロデイ脆弱性、セッション情報の露出で個人情報など取得される恐れ
    (2019年4月3日 19時19分)
    ウェブブラウザーのMicrosoft EdgeおよびInternet Explorer(IE)に、セッション情報が露出する「同一生成元ポリシー違反」(CWE-346)の脆弱性があるとして、トレンドマイクロ株式会社が同社セキュリティブログで解説している。(中略)攻撃者はこの脆弱性を利用することで、例えば、ユーザーの銀行アカウントを侵害し、個人情報にアクセスしたり決済処理を認証することも可能になるという

なんとこれ、どっちも今月に出たニュースなんすよね。いずれ更新プログラムで対策されるとは思いますけど、IE使ってるようなユーザーが律儀に更新プログラムをインストールしてくれるだなんて、希望的観測が過ぎると思いませんか?(自動更新があるとはいえオフにされてる可能性も…)

ポルn…危ないサイトに近寄らなきゃ大丈夫なんでしょって考え方はもう古いですので、認識を改めてください。IEの話とは無関係になりますが、これまた今月起きた事件を参考程度にご紹介。

とかね。(まあこれはサイト管理者の不手際が原因で起きた事件だってのも付け加えておきますが、)普通に企業発の公式サイトとかでもこういうことが起こりうるんですよ。例えばこんな感じでサイトを乗っ取ってページ閲覧者を攻撃する場合、他のブラウザよりも脆弱性を抱えているIEはより狙い目だよネー…ってな感じで話を軌道修正させまして。

こうした事情から、IEはセキュリティの専門家も危険視しているってなわけです。どうしてIEが鼻つまみ者として扱われるのかは十分ご理解していただけたかなーと。

あとこれはいちユーザー目線の個人的な感想だけど、単純にブラウザとして使いづらいよねIE。マ~~~ジで動作遅いし。

IEを巡る世界情勢

そうは言ってもですぜ。前述の通りIE11は最短でも2025年10月14日までは脆弱性が対応されうるという事実に変わりはありません。じゃあやっぱりウェブ屋さんは2025年までIE11を誠心誠意サポートしないとダメだよね…? 確かにそういう価値観もあるでしょうし、自分はそれを全否定しようという気はありません。

(無論言うまでもなく)筆者はアンチIEの立場を取っていますが、いくらIEだからってテキストが全く読めないレベルで表示崩れとか起きてたらアクセシビリティ的にさすがに問題だと思いますしね(ITリテラシーの低い層向けのサイトで、かつ、決済処理や問い合わせ機能もないような、シンプルなサイトの場合を想定)。

ではIE11の寿命はまだ尽きていないにも関わらず、なぜこの記事では脱IEを掲げているのか。ご説明いたしましょう。技術コストやセキュリティの問題だけじゃないんです。

Microsoftの見解

次の記事をご確認していただければ、開発元MicrosoftのIEに対するスタンス・IEが抱える問題点についてご理解いただけるかと思います。

マイクロソフト、企業にInternet Explorerの使用をやめるよう要請。「IEは技術的負債もたらす」

ついでにこの記事のソースも貼っておきます。
The perils of using Internet Explorer as your default browser
開発元自らEnough is enough(もうたくさんだ)って言ってる現状があるわけでして。

IE11が登場した経緯を振り返る

なぜMicrosoftは自身のプロダクトであるはずのIE11をここまで切り捨てたがっているのでしょうか。IE11が登場した当時の歴史を辿ることでその答えが明らかになります。

IE11が登場したのは2013年です。6年前のインターネッツがどんなもんだったかを想起してみてください。思い出せない人向けリーンク:2013年のインターネットはまさに『Twitter』炎上の年だった。 我々極東の民にもようやくスマートフォンが普及しだして、国内のスマホ対応サイトもそれなりに増えてきたってな時代背景でございます。でもまだギリギリガラケー使いが居たレベル。

って言うとなんだ最近じゃんと思うかもしれませんので少し補足します。2013年というと、Why 2013 Is the Year of Responsive Web Design(2013年はレスポンシブウェブデザインの年だ)ってな感じで、今や当たり前のレスポンシブデザインの考え方が海の向こうでようやく定着しだした時期でございます。

また、脆弱性の発覚や各種スマホOSのサポート外となったことで一躍オワコンとなったFlashも、この時代ではバリバリ動いてました。例を挙げるならば、2013年だと艦これがめっちゃ流行りましたが、あれも元はFlashゲームなのですよ。現在はHTML5ベースで動くように改修されてますが。なお、今やウェブ標準となっているHTML5も2014年にW3Cから勧告されたものなので、2013年時点だとHTML5はまだ草案段階でした…。

そもそも2013年というのはXPやVistaの延長サポート期間内でして。つまりどういうことかというと、IE6~IE9がまだウェブ世界を支配していた暗黒時代ということで……(人類史で例えると石器とか土偶とか銅鐸とかでウホウホやってた時期にあたります)。この時代にネットに触れてた人は #インターネット老人会 ネタの一部がギリ通用する世代なわけです。ね? 2013年がどれだけ昔の出来事か思い出せましたでしょうか。

つまり何が言いたいかというとIE11は時代の過渡期に生まれたブラウザだということをご理解いただきたいわけです。

Edgeの登場 IEを継ぎし者…?

さて、Windows OSにはInternet Explorerがバンドルされていると書きましたが、なんとWindows 10におけるデフォルトブラウザはIE11ではないのです。このIEに成り代わってデフォルトブラウザとなったのがEdgeです。これは2015年7月15日の出来事で、わずか2年でIE11は裏方に回されることとなります。

なぜEdgeというもう一つのMicrosoft製ブラウザが2015年に登場したのか。それは、IE11が時代の変化についてこれなかったためです。誤解を防ぐため正確に言い表すならば、Edgeがその名の通り先端的なブラウザとしての役目を担い、IE11は古いサイトなどを表示させるための保守的に立場に回された、ということになりますが。参考:いまだに残るレガシー IEの“功罪”とは

ま、まあ、そのEdgeも正直IEよりマシってだけでかなり微妙なんですが…。一応、ActiveXやVB Scriptの対応を切ったことで脆弱性リスクが減ったことや、IEよりも動作スピードが向上したことはユーザー目線での評価点といえるでしょう。作り手目線だと正直Edgeも消えてくれたら助かるなあとは思いますが…

2013年以降のブラウザ事情

では、ここでIE11が登場した2013年前後およびそれ以降のブラウザ情勢を見ていきましょう。下記のグラフは、2012年1月から2019年3月までの全世界におけるブラウザのシェア率を示しています。

ブラウザシェア率グラフ(全世界)
2012年1月から2019年3月までの全世界ブラウザシェア率(PC) StatCounterより

2012年から2013年の間に注目してください。IEは2012年にChromeに敗れた後、転落の一途を辿っています。ついでに書いておくと2016年にはFirefoxよりも下回るようになり、なんとそろそろSafariにもシェア率で劣り始めるといった状況にあります。補足:上記グラフの「IE」はIE11のほか、IE10以下の全バージョンを含んだ内容となっている。IEの後継として紹介したEdgeも、世界的にはOtherに集約されてしまう程度の存在感しかないようです…。

なお、2019年3月時点でのIEのシェア率は5.44%となっており、淘汰傾向が続いているようです。上記はあくまでPC版のみのグラフですが、スマホを含めるとIEのシェア率は2.56%となっています(こちらもStatCounter情報)

こうした統計に基づいた現状の傾向・数字から、「IEは今後より一層利用者が減っていくことが明白なブラウザ」と言えるでしょう。また、Microsoft自ら発した提言や先述した技術的なコスト・セキュリティリスクの観点も加味すると、IEはもうサポートするに値しないブラウザであると考えてもよいのではないでしょうか?

…………世界的には。
さて、ここからは我々が立ち向かわなければならない問題の核心に迫っていきます。

国内におけるIE

「IEは2013年にChromeに敗北し、以後持ち直すことはなかった(第二次ブラウザ戦争の終結)」という世界情勢を念頭に入れておいて、国内シェアの方も確認してみましょう。

ブラウザシェア率グラフ(国内)
2012年1月から2019年3月までの国内ブラウザシェア率(PC) StatCounterより

まず、2013年時点ではIEは依然としてシェア率50%以上を維持していて、トップを独走していることが分かると思います。国内におけるIEの天下は、2015年半ばまで続くわけですが、その間に一度大きな変化が生じていることに気づきませんでしたか?2014年の3月-4月頃にIEの線がガクンと下がっていて、逆に他のブラウザのシェア率は上がっています。が、6月-7月頃にはまたIEが持ち直し、他のブラウザのシェア率が下がっています。一体何があったのでしょうか。

2014年 XPの乱

これにはもちろん明確な理由があります。Windows XPの延長サポートが2014年4月9日をもって終了したためです。伴って、IE(特に、サポートの切れているXP利用者)を標的とした脆弱性攻撃なんかも話題になっていました。お茶の間で取り上げられていたこともあるでしょう。さて、ではこの時期についてのネットニュースを見てみましょうか。

「職場で『とりあえずインターネットの利用を控えるように』という指示が出た」 「なぜか『ヤフーは危ないから使わないほうがいい』という話になり、みんながIEでグーグル検索するようになってる」(産経ニュースより

∩(´;ヮ;`)∩ンヒィィィィィ

そう、ウェブサイトとブラウザの違いさえ分からないという層が国内にはいるのです。個人単位でならまだしも、企業レベルで上記のようなお達しを出してしまうってのがヤバいっすよね。世間で騒がれている出来事の何が問題かも理解しないまま、わけもわからずとりあえず禁止するってのが二重でヤバいっすよね。2000年に「IT革命」なんて言葉が流行語大賞になりましたが、21世紀を生きる未来人の皆様はてさてその後いかかでしょうか、っと。

僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもう アポロ11号は月に行ったっていうのに歌詞引用元:アポロ(ポルノグラフィティ)
余談というか雑談ですが、この曲は1999年にリリースされた曲なので当然その後のアポロ計画の顛末も知っているにも関わらずこのままのスピードで世界が回ったら アポロ100号はどこまで行けるんだろうなんて歌っているあたり、皮肉が効いていていいですよね。

で、話はここで終わりません。一度下がった後V字回復していることにも注目してください。要するにこういうことだと推測できます。「なんでか分かんないけど辞めた方がいいらしい」ってな具合でIEの使用を控えたものの、「(Win 7またはVista搭載の)パソコン買い替えたから大丈夫っしょ」ってな具合でまたIEを使い始めると。いや対策としては間違ってはないんですけどね。(XPと違って)IEの脆弱性に対するアップデートは行われますし。ただ、本質を理解しないまま、これまでの流れでIEを継続利用しているってのが統計データからなんとなーく分かってしまうでのが悲しいところですね…。

以下脱線:
記事から抜粋して論ってはいるものの、上記の内容はあくまで一例でしかないことは承知しております。それから、個人単位でのITリテラシーが低いことが悪だとは思ってないです(それは我々IT業界の人間が改善・啓蒙していくべき問題であって、知識の乏しいユーザーが悪いということではないことです)。さっき貼った産経ニュース記事の3ページ目でも言及されてますが、無知をせせら笑うなんてそれこそ理知に欠けた振る舞いですやんか。

そしてこの潮流はEdgeをデフォルトブラウザとしているWindows 10が登場する2015年7月15日まで続いた、ということがグラフで紐解けてしまうわけですねー。

現状のIEシェア

2015年後期以降の状況はわりと世界情勢と似たような動きをしていて、Chrome優位でIEは下降傾向となっています。とはいえ、未だIE勢力は根強く、Firefox・Safariのシェア率を超える15.1%となっております。また、この数字は後継であるはずのEdge(7.2%)と比較して倍以上のシェアを占めているということでもあります。

スマホ等での閲覧込みでも9%の層はIE利用と考えると、この国におけるIEの影響力がいかに強大かが伺えますね…。

総括

これまでの話のまとめ

だいぶ長くなってしまいましたから一旦主張をまとめたいのですが、その前になぜ「2020年」がキーワードなのかという話について補足しておきます。

2020年はウェブ業界における分岐点になるか?

冒頭に戻りますが、2020年が争点になる理由は2020年1月14日でWindows 7の延長サポートが切れるからです。Windows 7のサポートが切れれば、IE11をデフォルトブラウザとしているのはシェアの少ないWindows 8.1のみとなります(なお、Windows 8.1のサポート失効は2023年1月)。2025年まで待つのか・2020年で負の遺産と決別するのか。この記事では、その決断をウェブの界隈に関わり深い皆様方に問うておるわけです。

補足:Windows 8.1のシェア
先ほど述べたように、Windows 8.1はIE11を標準ブラウザとしていて2023年までサポートが続くわけですが、これを考慮する必要性はあまりないと言えるでしょう。というのも、2019年3月時点で国内のPC利用者のうち66.42%がWindowsを利用していて、その内訳はWindows 10(60.06%)とWindows 7(29.95%)がほとんどを占めています。対してWindows 8.1は僅か6.51%で、この数字は今後も緩やかに低下していく見込みです(StatCounter調べ)。影響力の低いOSのサポート期間が終了したところで大勢が揺らぐことはないでしょうし、2023年にウェブ業界の歴史が変わる可能性は低い、と個人的には睨んでいます。未来を見越して今変えていくか、慣習と過去に縛られて5年後に向き合うか、それしかないかなと。

では、まとめに戻りましてウェブ制作におけるIE11対応の是非に関する主張をリスト化してまとめます。

IE11を2025年までサポートすべき理由

IE11を2025年10月までサポートすべき理由は、下記の通りです。なお、極論に飛躍しないよう、「IE11でも他のブラウザと同等の優れた見映え・動作・性能を完全に担保すべきである」「むしろ2025年10月14日以降も担保すべき(IE過激派)」という考え方は除外するものとします。

あくまで「一応IE11でも概ね他のブラウザと似た見栄え・挙動になるよう保証したい」ぐらいの現実的なラインで考えてください。

  • 主張1:アクセシビリティの観点から、レガシーブラウザからの閲覧であってもテキストや画像などの主要コンテンツ、基本レイアウトの表示ぐらいは担保すべきだ(グレースフルデグラデーション)。
  • 主張2:国内では未だPCで15%、スマホ込みでも9%もの利用者が存在していて、これは無視できない数字だと考えられる。
  • 主張3:これまでIEで動いていたのだから、これからもIEでの動作を保証すべき。
  • 主張4:結局、作り手都合による怠慢の正当化では? ウェブ制作を生業にしているプロならば品質を保証するのが当然だ。

これらを受けての筆者目線での意見もありますが、一旦それは飛ばしまして。IE11をサポート対象外とすべき、というこれまでの主張についてもまとめてみましょう。

IE11のサポート対応を2020年を機に辞めるべき理由

こちらも極端な解釈を防ぐため「いついかなる場合でも・どのような目的で作るサイトであったとしてもIEは保証の対象外とすべきだ」「そもそもIEでのページ閲覧は不可能にしてしまえ(アンチIE過激派)」という考えではないものとします。

「現状IE11に対応済みの既存サイトは大規模な改修がないならそのままにしておくけど、新規に作る場合はIE11を動作対象外にしたい(別途対応費用がもらえるなら考える)」ぐらいの温度感でお願いします。

  • 主張1:IEは他のブラウザに比べて技術的な制約が多く、ウェブ制作において足枷となっている現状がある。
  • 主張2:IEには脆弱性があることを専門家・セキュリティ関連の企業から再三指摘されていて、ユーザーが安全にブラウジングできる環境とは言いがたい(他のブラウザでも脆弱性が発覚することはあるが、その中でもとりわけIEはリスクが大きいブラウザといえる)。
  • 主張3:開発元のMicrosoft自らが使用を控えるよう勧告している。
  • 主張4:(国内での結果は一旦さておき、)世界的にIE利用者の数は減少傾向にあり、現時点での利用率もかなり低い割合となっている。また、国内でも今後IE利用の割合は減少していく見通しが強い。
  • 主張5:IE11が登場した2013年の歴史的経緯を鑑みる必要がある。当時は、片やIE6でのサイト閲覧が当たり前に担保されていた時代、片や(現在に比べ)スマホやタブレットの黎明期であった。一方で現在は、もはやIEが時代遅れの型落ちブラウザであることは誰もが認める事実であり、PC以外の端末からのアクセスが主流になりつつある潮流がある。こうした時代の変化に対応するために登場した代替ブラウザがEdgeであり、もはや古いウェブサイトを表示させるために存在していたIE11の役目は終わったといえる。

こっち側の立場でも”そりゃサポートするしないで言えばした方がいい”というのは前提としてありまして。ただ、「IE11をサポートすることによって割に合わないコストが発生しかねないこと」「技術的制約のせいで、要望の実現が頓挫する可能性があること」「IE11自体が将来性のないブラウザであること」あたりを考慮すると、やらん方がいいのでは…ってスタンスの主張になります。

終わりに

ここまでの内容を踏まえて、最終的にどういう選択を取るかはいち個人・いちウェブ責任者・いち企業の判断に委ねるとします。ただ、時代に応じた選択・意思決定をすることは商業的成功を収める上でも重要事項ではないかと筆者はご提案いたします。

吟味した上で「クライアントの信用を得る上で、やはりIEを切り捨てるわけにはいかない」「この案件に限っては、IE11を対応することに明確な利がある」と判断したのであれば、それもまた正しい決断だと思います。

ただ、差し出がましいようではありますが、この記事ではIEに関する諸問題を通じて「慣習や常識に縛られず物事を吟味すること」自体の重要性をウェブ関係者各位に認識していただく執筆した運びとなりました。

IEを憎む者からの言葉

……ハーハッハッハッハッ!なんて無難な言葉で終わらせると思うたか!笑止!言うべきことは済みましたが、言いたいことはまだまだありますゆえ。何のための個人ブログだってね、もう少しばかり切り込みます。あ、でももう大事な話はないから読まなくていいです、こっからは全部蛇足のコーナー。筆者が感情のままに書きたいこと書くモードの乱文なんで、ブラウザバックするなら今のうちです。

…では、警告はしましたのでここからは理性をかなぐり捨てて自分の言葉で表現させていただきたく。さっき挙げた「IE11を2025年までサポートすべき理由」ってのに対して少し噛みついてみます~。

ブチギレ全レスタイム

バトル1:アクセシビリティ哲学 vs コンバージョン至上主義

主張1:アクセシビリティの観点から、レガシーブラウザからの閲覧であってもテキストや画像などの主要コンテンツ、基本レイアウトの表示ぐらいは担保すべきだ(グレースフルデグラデーション)。

おーん。難しい横文字の話なんか出してきて物知りですねぇ。まず、前提として説明しときますと。ウェブ制作におけるトレンドは常に変化していて、それに伴ってクライアントやユーザーから求められる技術要件の難易度は上昇傾向にあるんすわな。

あー、厳密には新技術それ自体に興味ある人はそんなに居ないんですけど。ただ、そうして新しく解禁された技術の組み合わせによってこれまでは実現できなかった新しい付加価値を提供できれば、UX向上やブランディングにも貢献できるよね?ってハナシ。新技術ってのは確かに前例が少ないから普及はしづらいし導入も難しい。ただ、実需要は薄くても期待が高まっていて、潜在的な価値がそこに眠ってる可能性が高いってワケ。

これって商業的に考えてIEユーザーを支えることよりも俄然重要そうじゃありません?だってブラウザ変える方法も分からん、スマホはGoogleで検索するけどPCではYahoo!使う、下手したらケチってサポート切れても古いOS使い続けるかもしれない可能性のある層でっせ。企業なりプロダクトなりに金落とします?金銭に直結しないPR目的のページだとしても、IEユーザーに合わせて無難なもの作るぐらいだったら、先進的な考えを持っている意欲の高いユーザーにリーチした方がいいと思うんですけどねえ。

うちのブログで紹介しているような小技レベルのテクニックだったら無理矢理どうにかなる場合もあるかもしれないっすけど、実現したい要件によってはもはやグレースフルデグラデーションなんて言葉が通用しない状況が訪れつつあるわけですわ(「Polyfill使えばいいじゃん」ってのも同じ理由で厳しくて、Polyfillで解決できなかったり意図しない別の不具合を起こしたりする可能性がある都合上、出来れば頼りたくないわけです)

「じゃあ新しいことや難しいことしないページだったら別にIE11担保すりゃいいじゃん」って?まあそうやな。誰でも作れるような、いかにも下請けが作りましたって感じの無難かつ毒にも薬にもなりゃしない、誰の印象にも残らないような万人向けのページを作る場合は対応してもいいんじゃないですか。IE対応のせいでかかる工数、無駄だと思うけどなあ。

そもそもアクセシビリティーーーーーーとか言うなら色覚異常持ちの人とかにも配慮したほうがいいんじゃないですかね。男性の20 人に1 人、女性では500 人に1 人いるそうですけど(公益社団法人 日本眼科医会より引用)。視覚障害の人も考慮するなら音声読み上げも対応しなきゃね。あ、そうそう、子供が読む可能性のあるページだったらふりがなはどうです?え?これは別途料金対応なんですか。まあ確かにIE対応より手間だと思いますけどー。でも、(全員が全員ネットユーザーというわけではないにせよ)IE利用者よりはるかに母数大きいと思いますけどー。んで、これから減っていくであろうIE利用者と違って、こっちの母数が減ることはないと思うんですけどー。どうなんですかーそこらへん

バトル2:現実路線 vs 進歩主義

主張2:国内では未だPCで15%、スマホ込みでも9%もの利用者が存在していて、これは無視できない数字だと考えられる。

だからさあ、これ今現在そうだってだけでこれから減ってきそうだってのは統計見れば分かるやんって書きましたですやんか。逆にEdgeは緩やかだけどそれなりに伸びてますでしょ。ってか2017年時点でもう全体の約半数が「スマホのみ」でインターネット利用 「PCのみ」はわずか6%ってデータ出てるんですけど。んで、この傾向は更に進んでて2018年にはネット利用、スマホがPCを逆転 総務省調査ってニュースが出てるんすけど。IEどうこうはおろか、PC層よりスマホ層向けに作業リソースやコストを割いた方が賢いご時世なんすわ。

はーい、じゃあもう核心突きまーす。この国のPCユーザーは一定数こういう層がいるんです。用意された備え付けのものしか使わず、新たな知識を身につけたりそれを試すことはない、んで何の疑問も持たず同じものを使い続ける人たちがいるんです。さっきの統計見て分かったことでしょ。っていうか正直この国で生きてりゃグラフなんて見るまでもなく肌感で分かることでしょ。

みんなIEが好きで使ってんじゃなくて、IEが備え付けだから・そしてIE以外のブラウザを知らない(ブラウザという概念を知らない)から使ってるの。惰性で使ってるだけで、IE11が時代遅れという風潮になったらまた何の疑問も持たず乗り換えてくれますよ。だから2020年はチャンスだって言ってるんです。Windows 7が滅べばデフォルトブラウザはEdgeになるわけですから(基本みんなWindows 10に乗り換える都合上)。

そりゃまあWindows 10にはIE11もバンドルされてることですから、今の15%のうち数%は無理矢理デフォルトブラウザを変更したり毎回ショートかっとから起動したりしてIEを継続して使い続けるかもしれません(サポート切れのOS使ってる人とかは論外なので考慮しない)。しかしですねえ~……これまでIEを使い続けてきたレベルのリテラシーの人間が、わざわざデフォルトブラウザであるEdgeを避けてIEを使えるほどパソコンに詳しいと思いますか?なんなら初回起動時の画面ではわざわざご丁寧に「Microsoft Edge をぜひお試しください」だなんて表示されるのに。(ユーザー視点での)実利面から言っても、IEはEdgeよりも遥かに動作性や表示速度で劣るわけでして。

別に古いブラウザを自らの信条に基づいて使い続けるのはユーザーの自由なんですけどね、どうしても使いたきゃあそれを止める強制力はないわけで。でも、古いブラウザをサポートしないのも制作側の自由じゃないですか。まあリリース頻度の観点から単純比較はできないですけど、Mac(およびそのデフォルトブラウザであるSafari)だったら約2年程度のスパンで古いOS切り捨ててますよ。つまり2年経っても古いOS使ってたらもう自己責任の領域になるわけです。でも、Mac利用者って普通に皆そのサイクルに適応しているじゃないですか。PCのネットユーザーのうちOS X経由でブラウジングしてる人って国内でも24.46%なんですけど。IEユーザーより全然多いんですけど。

…まあ、こっちもサポート切れのバージョン使ってる層が20%程度存在しているのは置いといて。でも、「じゃあ古いSafariもサポートしよう」とはならないでしょ(そんなん軽い気持ちで安請け合いしたら大変なことになるで)。なんでIEは特別なんですかね。結局みんな慣習だけでIEを信仰してるだけなんすよ。IEのサポート切ったら祟りでも起きるんスか?飢饉とか洪水とか起きるんすかねえ。

バトル3:MOTTAINAI?いや問題外?問う存在価値

主張3:これまでIEで動いていたのだから、これからもIEでの動作を保証すべき。

IEの将来性や社会情勢みたいな理詰めの話は再三話したので、別のアプローチからご説明しましょうかね。これまで正としてやってきたものを、いきなり改めるのは難しいってとこですか。まあその、きれいな言葉で言い表すなら「もったいない」ってとこ?(悪意のある言葉を選ぶと「めんどくさい」になりますが)『これまでIEで閲覧していた層を失うのはもったいない』、と。ほほう。

――もったいない(勿体無い)とは、物の本来あるべき姿がなくなるのを惜しみ、嘆く気持ちを表している、日本語の単語であるWikipedia

…いや、この言葉自体は普通に良い言葉だと思いますよ。プログラミングやシステム開発の世界でもYAGNI(You ain’t gonna need it)つって「実際それが必要になるまではそのままにしておいた方がいい」って考え方がありますし。時流やその場の機運に合わせて余計な機能実装をしても無駄に浪費するだけで、機能の複雑に繋がるというような趣旨ですな。

ただね、”もったいない”って言葉は我々が生きる現実世界、あくまで物質世界での教訓なんです。オッ急にスピリチュアルな話か?と思うかもしれませんが、いや徹頭徹尾0と1で割り切ったデジタルな話ですよー。いやさ、ウェブサイトの本懐は情報を提供することにあるじゃないすか(読み物や漫画、動画とかのコンテンツも究極的には情報と言い換えることが出来るわけで)。

で、ウェブで情報を公開する利点は「その場に居ない人間や顔も知らない人間にも向けて情報を伝達できること」、そして、「いつでも公開した情報を修正・変更・追加・削除でき、それらを即時反映できること」。これ!これなんすわ。これがデジタルの世界と現実世界と違うところなの。

ゆえにこうしたネット記事も炎上したら記事やブログそのものが消えたりする可能性があるわけです☆彡

ただ情報を伝えたいだけならポスターやチラシでもいいんです。テレビCMとかも情報発信の手段として有効でしょう。でもこれらは一度世に出したら変えることは難しい。一度刷ってしまったポスターの内容はもう書き換えることができないし、一度放映してしまったテレビCMの内容を後から変えますってなったら大人の事情で莫大なコストがかかるわけです。

これがウェブならちょろっと弄っておしまい、と。この利点こそが人類社会に大きな影響を及ぼしたわけです。ま~、ちょいと脱線して歴史のお勉強みたいな話しますと、今や老若男女当たり前にウェブサイトを閲覧してるわけですが、まだウェブの歴史って30年ぐらいですぜ。自動車なんて(蒸気で動いてた時代から数えたら)登場して250年ぐらい経ってる人類の発明ですけど、今じゃ車の免許すら持ってない人だって一定数いますからね。

で、また話戻しまして。本質的にウェブサイト、ひいてはウェブの世界というのは、内容や体裁に変化が生じる前提で物事が進むわけです。こうした潮流や思想傾向は、ウェブの歴史がまだまだ若いのも相まってこれまでの人類社会の価値観に染まり切ってる人らにとっては馴染みの薄い感覚かもしれないですけど…、「もったいない」ってのは受動的立場の者が、主に物質(状態の変化が不可逆なもの)に向ける感情の働き・思想なんですって話で締めくくります。

せっかく買った食材を食べずに捨ててしまうのは「もったいない」。これは、対象が物質だから。そして、捨てるという行為が不可逆の出来事だから(生産者の想いを無碍にするのは気が引けるみたいな道徳的感情の働きも0.2%ぐらいはあるでしょう)。これは、生産者ではなく消費者の立場にある人間が抱く感覚です。

でも、例えば自分が来週プロジェクターで発表するプレゼン資料に誤解を招きそうな表現があったけど、そこの部分を修正することって「もったいない」?いやいやンなわけあるかって話。プレゼン資料ってデータですし、データなんて可逆も可変もお手のものじゃないすか。それに、これは資料を自分で作って発表する、いわば表現者の立場で起こった出来事なわけで。

あーいや、たとえがなんか微妙かな? とにかく言いたいことは、モノ作る側の人間が変化を拒むのはちげんじゃね、ってことでちゅわ。目まぐるしく変化するウェブの世界において「もったいない」なんて言葉は存在しねーんす。業界標準なんてのはあっという間に変わる、過去の基準や常識もいずれ打ち壊されて別のものになるってな諸行無常感溢れる世界観でございまして。この変化を拒むことは「もったいない」というよりは「ケチ」とか「怠惰」ってな言葉で言い表せちゃう例が多いんすわな。よろしいですか?

バトル4:”プロ”のあり方

主張4:結局、作り手都合による怠慢の正当化では? ウェブ制作を生業にしているプロならば品質を保証するのが当然だ。

おうおうおうおう、よう言うてくれたな。じゃあ言わせてもらいますけど、業界のトレンドや世界的な情勢にも目を向けず、「よく分かんないけどクライアントに説明するの面倒だからやって」「いや~上長がやってくれって言ってるからさ」とか言うのが勤勉なプロの仕事なんですかね。お上の命令に従ってりゃいいだけの御用聞きはいいですね~。調子の良いこと口で言ってあとは他人に丸投げすりゃいいんだもん。

おっと、つい過去の戦いの記憶が蘇って闘争本能が発露してしまいましたが。これは別にマネジメント側(営業やPM、ディレクター)と制作側(エンジニアやデザイナー)の間で対立させたいわけじゃなく。あくまで売り言葉に買い言葉ってやつで「プロとして云々とかわけわからん切り口で喧嘩吹っかけられたらこう反論する」ってだけですよ。逆に自分が実際に営業やディレクターの人に『御用聞き』とか言おうもんなら「じゃあおめえ会いたくもねえクライアントに頭下げて金になる案件取ってこれんのか」とか「てめえみてえな人格破綻者どもを指揮して案件を収束させようとしてるこっちの身にもなってみろ」とかカウンター喰らうわけで(たとえがギスギスし過ぎである)。

要は、それぞれの職業の領分を軽んじるなって話です。「プロとしてこうあるべき」みたいな”べき論”の切り口はしばしばバトりに発展しやすいんで、「私は○○の専門で、こうこうこういう知見からこのようにした方がいいと思うんですけど、□□に特化してる貴方はどう考えます?」ぐらいのスタンスで人と接するのが建設的な関係構築ってなもんで。自分なりの美意識やプロフェッショナル精神は立派だけど、それを他人に強要するのは傲慢が過ぎるってことです。ついでだから言っておくけどこれ下請けに対する態度とかでも同じことで、「金払ってんだからやれ」にも限界ありますぜ。お客様は神様かどうかは置いといて、独りよがりな神はチェーンソーでバラバラにされてしまうんすわな。

んで、作り手の怠慢だっけ?「めんどいからできないです」「難しいからやらないです」なんて理由で依頼を断ることありえないですよ(内心断りたいと思うことはあっても)。これまで我々はずっとIEに対する要望に応え続けてきたわけで。その上で言ってるわけでございますよ。ウェブ制作のプロが、これまでの知識と経験に基づいてもうサポートを辞めた方がいいって提言してるんですけど。そんなにズレたこと言ってますかね?

IEを憎む者の絶望と希望

は~スッキリした! ぶっちゃけもう満足なんですけど、一応まとめとくか。結論としては、ユーザーがいつまで経ってもIEから乗り換えないからみんな困っているんだけど、ようやく2020年にその流れを食い止められる兆しが出てきたと。

が、冒頭でも書いた通り、自分がここまで言葉を尽くそうと多分ダメなんですよね。現状の業界の空気感だと2025年までIE対応させられそうなんだよなあ…という無力感や絶望、怒りからこの記事の出発点でございます。まさか大嫌いなIEについてここまで書けるとは思わなんだ…。

結局2025年に起こる趨勢の変化が見えてるなら、もう2020年段階で変革を起こしても良いんじゃないかなーって思うんだけどなあ……私は決定権を持った偉い人ではないので。まあ所詮は未来永劫社会服従を義務づけられた低級国民の戯言でしかないので、ねー。

IE対応にみる社会のありよう

あーいや、国家や特定企業の体制批判とか国民性批判とかそんな話はしてないス(曲解しないでね)。こういう話をナショナリズムで着地させるの大嫌いなんで。企業や国家なんてそれぞれの事情を抱えてるわけで、それを画一的な物差しで良い悪いを決めつけることに意味なんてないって。私と小鳥と鈴と部屋とワイシャツと私ですよ。

生まれた国や喋る言葉が違おうと、人種や肌の色が違おうと、性別や年齢が違おうと、そんなの関係ねえんだって。だってどうせ人間死んだら骨じゃーん。ワラ

これ、日本社会がダメだっていうよりは、人口が減少傾向にある国ならどこでも起こりうる問題かなーと思うんすよ。『最大多数の最大幸福』って言葉はご存知ですか?ここは技術のネタを扱うブログなので知らなければググっていただくとして、日本で一番人口が多い世代は「65~69歳」らしいんで、この理屈で行くと社会制度や福祉は60代以上の人間を基準して設定していくべきってことになるんですよ。

ただ、実際問題60代の人間に20代と同等の労働力を期待するのは無茶ってなもんで。この世代(およびそれ以降の世代)を支えるための負担を、国内人口の6割を占める生産年齢人口ってので肩代わりしていますよ、と。ですが~…ここに少子化問題が絡んでくるわけです。今高齢者を支えている生産年齢人口もやがては老いて未来の負担とならざるを得ない一方で、これから生まれてくる世代はどんどん減っていくと。詰みですやん。ゲームならリセットしてるレベルですわな。

んで、そのことに皆そろそろ気づき始めた頃なんだけど、そうは言っても「システムが破綻しつつあるので、もう高齢者は面倒みません」とか言うわけにもいかないじゃないですか。個人の中でそう思うまでは自由かもしんないですけど、本気でそれを口にしようものなら非道の謗りは免れないでしょう。若い世代の人らがこんな世界のこんな時代に生まれてきたくて生まれてきたわけでもないのと同じように、お年寄りも老いたくて年老いたわけじゃないんだからあんまりそういうことは言うもんじゃないって。

少子高齢化問題を抱えている国では、このようにレガシーシステムを支えていかなければならない現状と、未来に対する懸念の板挟みが至るところで起こっとるわけですな。この問題が日本のIT業界においても立ち塞がっているわけです。ウェブ屋とてその例外ではなく。

改めて書いておきますが、これ日本という国に特別問題があるってことじゃないんですよ。例として挙げるなら~、問題の系統とかバックボーンにある事情とかは日本と違いますけども、最近の欧州情勢とか結構すごいことになっとるじゃないですか。その、なんていうかな。長い人類の歴史を鑑みてみれば、これまでの成長と発展が異常だったことは疑いようもなくて。三文芝居のテンプレ悪役みたいなこと書きますけどもー、「もはやどこに生まれようが、これまで人類が起こしてきた過ちのツケ払いからは逃れられないのだよ!」とか思ったりなんだりしちゃうんすよにぇー。我々が生きてる間にそういう破局が起こるかどうかはさておき。こんなこと書くとまるでペテン師のノストラダムスみたいですけどもー…でも、実際問題地球上の人間全員が富と幸福と豊かさを願ってもそれは叶わない話でしょう。地球の資源には限りがあるわけですからね。

これから生まれてくる子供らに対して「すまんけど君らは我々が生まれた頃より辛い未来を生きてもらうことになるねんで」みたいな残酷さを伝えざるをえない現状だと思うのは悲観主義が過ぎますかねー?デカダンス的な?世紀末的な?的な的な??

パンドラの箱の底にあるもの

じゃあこの辺で大人だったら誰でも知ってるような社会の授業はここまでにしときましてー。わたしゃは政治家でも慈善事業家でも社会評論家様でもありませんから、こうした世間の問題をどうにかする方法なんて知りません。こんなに書いてはいるもののぶっちゃけ興味もそんなにないし、世の中どうなろうが知ったこっちゃないでーす。

が、……これでも一応ウェブの仕事で食い扶持稼いでるプロではあるんでね。さっき言ったでしょう? 現実世界とデジタルの世界は違うって。とりわけこのウェブの世界では変化するのが当たり前だって。

まあそのなんだ、正直IE一つ無くなったところで世の中的には大きく何かが変わるわけでもないです、ウェブ屋にとってはありがたいってだけで。でも、それこそがデジタルの世界の素晴らしいことなんですよ。だってそうでしょ?福祉や生活支援は絶やすわけにはいかないけど、別に古いブラウザを動作対象外にしたところで誰かが死ぬわけじゃないじゃん。だからいいんですよ。

仮想の世界でなら破壊も革命も許される。そして、そうであるが故に新たに生まれてくる技術や芸術、娯楽、その他知的活動もまた自由闊達に発展することができるのだと。わたくしめはそう考えておるのですよ。

※インターネットの自由さを素晴らしいとは思っていますが、だからと言って度々起こるネットいじめや配慮を欠いた炎上発言、エルサゲート問題など、ネットならではの(情報発信とそれらの受信が自由すぎるがゆえに起きる)負の側面があることも承知していますし、これを容認もしてないです。当たり前ですが。

だからねー。現実の路線に合わせてデジタルの世界を無理矢理狭めていくんじゃなくて、現実世界の問題は現実世界の足並みで向き合っていくとして、デジタルの世界はデジタルの世界の速さで進んでいったらええんじゃないですかねー、というのがワタクシからのアンサーでごぜえます。

だってそうでしょ。インターネッティオの中まで辛気臭いこと考えてたらメンタルヘラって人生不可解コースですよ。イアンもカートもどうたらこうたらってなもんで、平成も終わるってのに今更そんな現実世界の閉塞感”ごとき”で足を止められていられるかっての。ンな事ァとっくの昔に聡明な先人方が向き合いまくってきたことでして、もうとっくに我々の分の席は用意されてないんだって。

んじゃ、ぼちぼち結論書いて終わりますね。例え現実の世界がどうであろうと(そしてこの先どうなろうとも)、デジタルの世界では進歩的な精神によって物事が推し進められるべきではないかと私は考えています。とどのつまり未来志向ってやつですな。こうした未来を見据えた価値基準・思考や意思決定にこそ、現実世界での諸問題を解決するための鍵があるのではないだろうか。…なーんて、インフォメイションテクノロジヰについて過信にも似た淡い期待と希望を抱いております。要約すると止まるんじゃねえぞ…ってとこ?

とかなんとか、最後で適当にアチーこと言って無理矢理締めれば世の中丸く収まるんですわな。あ、「この記事読んでIE対応すんの辞めたら怒られたぞ」とか言われても責任取らないんでそこんとこヨロでーす。